2011年10月23日 (日)

古作の文机

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文机 32.5cm×92cm高さ24.5cm

天板は剥板(へぎいた)で
表面は槍鉋のように荒く削いであります。
脚も鋸を使わず割ったものでそれぞれ太さが違っていて
天板を突抜けてクサビで固定してあります。
全体に虫食い跡が見られ
中央に穴でも空いたか木片を埋めてあります。
見た目の割に片手で持てるほど枯れて軽くなっています。
珍品堂が「足利の文机」といって紹介したものと同じタイプ。
足利かどうか分からないけれど
大鋸(おが)がまだ普及されていない頃の作ではないかと
思ったりもします。
須恵器や金銅仏を置いたり
気の置けない友と
差し向いで一杯やるにも良さそうな文机です。
(売約済)


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2011年10月 8日 (土)

和手茶碗

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和手(やわらかで)茶碗 李朝前期
径14.6cm 高さ7cm

伝世と思われる李朝の茶碗です。
和手(やわらかで)と言っても堅手の範疇でしょう。
粉引きのような肌に荒い目の貫入。
古い象牙の工芸品をみるようで
とくにピンホールから雨漏りが外に通って古格を感じます。
目跡は上品に四つ。
器表はクリーム色から青味を帯びる変化が見られ
高台の兜巾は小山のようにこんもりしています。
腰に残る指跡もアクセントとなっています。
茶を点てるほどに景色が増していきそうな
育てがいのある良碗です。

(売約済)

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2011年10月 6日 (木)

江戸中期の初期猪口

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初期手花弁文猪口 18世紀
径7.0cm〜7.5cm 高さ5.4cm

猪口は初心者向けとか入門者向けとかいうけれど
私には奥が深くていつまで経っても面白い。
名許りのぱっとしない盃より魅力的だ。

写真の猪口は江戸中期につくられた初期の猪口。
馴染みのない人は混乱してしまいそう。
生掛け故に少し楕円気味。
厚底で見込みに小石がに落ちて縁に窯瑕がある。
このくらいのデメリットは
土もの(陶器)で見慣れているので返って好ましい。
柳宗悦はすでに昭和六年の「民藝」に
そば猪口を紹介したらしい。
それも1ページに一点ずつの掲載。
薄手の描き込みタイプより厚手の初期タイプが多い。

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この手は昔から人気が高いので贋物が多い。
骨董市やネットオークションにもよくある。
キノコ狩りに行ってシメジそっくりの毒キノコに出会う感じ。

(売約済)

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2011年10月 2日 (日)

合鹿椀

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合鹿椀 径14cm 高さ10.5cm    室町末期~江戸初期

能登は柳田村の合鹿椀です。
三重椀のうちの一の椀。
肉厚で見込みが深く丸みのある腰に
すくっと立ち上がった高台。
縁の布被せは1.5cmくらいで段差が分かります。
内面には著しい断文が見られ外側も散見できます。
高台も浅い内刳り。
傷みはあっても表面的なもので後塗りはないようです。
堂々とした貫禄と古格を備えた古代椀です。

馴染みの交換会で大御所の出品。
値段が上がらず渋々当店に譲ってくれたもの。
こんな時代なのか弱小店にも好機がありました。

まずは、瑕も埋まるので粥でも食しながら
家庭内出家を体感したいと思います。

(売約済)

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2011年9月30日 (金)

志野四方入隅向付

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無地志野四方向付 桃山時代
8.9cm×8.7cm  高5.1cm

伝世と思われる志野向付です。箱も相当古い。
前所有者は座辺の酒器として長く手許に置いていました。
志野には酒器がなくすべて向付の代用です。
これは升酒のように使っていたそうです。
薄作りで入隅、碁笥底。
茶陶としての品格が備わっています。
長年の使用による瑕はありますが
口当たりも柔らかく艶やかです。

日本の陶磁史は半島や大陸の影響下にありました。
その中でも桃山美濃陶は模倣ではない
革新的なオリジナルプロダクトです。
秋の夜長、吟醸酒でもやりながら
しみじみこの国を見つめたいものです。

(売約済)

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2011年9月 6日 (火)

スーガンチェアー

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アイルランドの田舎の椅子。
森の小人が腰掛けていそうな素朴でメルヘンな雰囲気。
バンドソーで切り出したままのオークを無骨に組み
シートを麻のロープで巻き上げている。
これは100年くらい前のものだが
今でもひとりだけ作っている人がいるという。

以前、墨田区のアンティークショップに
勤めていた知人から分けてもらったもの。
その知人が店にいた時に
客から電話口で探してほしいと頼まれたという。
よくよく聞いてみるとこの椅子らしい。
日本では知られていないレアなものだけに驚いたそうだ。
しかも数十点所望とのことで
店には2点しかなく取引はなかったが
その客とは建築家の磯崎新だった。
尋ねてくれただけでも嬉しかったそうだ。
この椅子が納まる建物を見てみたい。

背板/パイン  本体/オーク  
幅47.5cm 奥行43.5cm 高さ84cm 座面37cm
(売約済)

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2011年9月 1日 (木)

秋の酒器/唐津やデルフト、白丹波など

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無地唐津盃 桃山〜江戸初 径7~7.8cm 高さ4.5cm
平戸系の総釉掛けの無地唐津。
これだけ傷けのない盃は市場でもあまり出回りません。
大きさもぐい呑として好適サイズ。
歪みに親指を当てるとしっくりします。
見込みに育ちがいのある貫入があり
将来楽しみです。(売約済)




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デルフト盃  オランダ 18世紀  径7.2cm 高さ4.5cm
しばらくご無沙汰のデルフト盃。
このような姿の良い盃に相応しいものは
少なくなりました。
かなり酷使されたようで酒染みもついて味わいがあります。
縁もぐるっと釉剥げがありますが、酒徒は気にしません。
(売約済)




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白丹波徳利 江戸末期   胴径8.5cm 高さ23.5cm
as it isで展示の内田鋼一さんのコレクションにも
白丹波がありました。
地味ですがモダンなムードも持ち合わせています。
口の先の染みがアクセントになっています。
漏れはしませんが胴に薄い入があり
粉引きのように染みが拡がります。
そのうち内田さんの徳利のような
マーブル模様の染みになると思います。
(売約済)





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李朝黒釉皿 李朝前期 径13.8cm 高さ3.8cm
珍品の前期の黒い皿です。
そもそも古器で黒い皿は少ないです。
白っぽい酒器を引き立てます。
何を載せても美味しそう。
(売約済)





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塗師定盤 明治 30cm × 40.8cm 高さ(盤まで)3cm
盤の両側を板で挟んだ珍しい定盤。
表面は漆が厚く盛り上がり、削りだして平らな面にしていますが
不思議な文様になっています。
その裏はポロックのような
アクションペインティングのようです。
少し凹みがあるので見立ての盆にしてみました。
安定が良く、器もしっくり納まります。(売約済)

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2011年8月21日 (日)

夏の午後の酒/唐津

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夏の午後の酒。
酒の用意をしていたら雷が鳴ってだんだん暗くなって来ました。
雨の匂いがします。



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黒唐津徳利 桃山~江戸初期 胴径11.5cm 高さ21cm
藤ノ川内と思われる黒唐津の徳利。
板起こしの叩きで成型されています。
腰回りは(たぶん藁灰)カセてマットになっています。
口の欠けは渋い銀の直し。(売約済)




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唐津無地筒盃 桃山~江戸初期 径6.6cm 高さ4.8cm
土灰釉がかかった筒盃。呼び継ぎと割れを直しています。
丁寧に切り出した高台はかりかりに焼けています。
釉の溜まりの水色が涼しい。(売約済)




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古板 29cm 49.6cm 高さ2cm
何の板か分からないけれど縁が土手のようになっているので
盆の代わりにしてみました。
枯山水のように涼しい風景です。

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2011年8月 3日 (水)

李朝刷毛目茶碗

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径13.5〜15cm 高さ7cm 

武将が持つような力強い茶碗を常々欲しいと思っていたが
それなりのものを馴染みの会で見つけた。
自分自身に元気を付けたかったので思い切って落手した。

包み込むような丸い胴に適当な歪み。
刷毛塗りも均一ではなく荒っぽくむらがある。
高台はごつくて無愛想。
干割れが出来た部分に鉄釉で標しのように塗ってある。
以前にもこのようなひびに鉄釉を塗ったものを見たことがある。

穏やかな気持ちというより
高揚するような頼もしい茶碗と思う。

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遊びに来た陶芸家がこの茶碗を見て
某有名大店でこれにそっくりな茶碗を見たという。
ぜったい同じ陶工の作だと言っていたが
大店のそれは伝来が伊達政宗所持とやらで原三渓旧蔵らしく物々しい。

こちらは箱書きもなく所載品でもない。
おこづかいを貯めて買えるくらいで良かった。

(売約済)

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2011年7月16日 (土)

as it is

as it isに行って来ました。

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内田鋼一さんのコレクションが観たいと思い
近所のF氏と西荻のK嬢を誘い愛車の軽で森下を出発。

アクアラインで東京湾を横断して千葉入りしましたが
ここからがエラく遠い。
田んぼや山に川、トンネル、のどかな風景が続き
それもかえって期待感が増し車中の話しも弾みました。

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やっと到着。あらためて中村好文さんの建物は素晴しいと実感。
館内の薄暗い照明にただならぬ気配。
目が慣れてくるにつれ建物に同化していたものが
浮き上がってくるようです。

お気に入りは屏風の下張り、棚、茅葺き屋根の鋤、ワッパの盥、田舟など。
屏風の下張りが一番好きでしょうか。

陶器などはかなり使いこんでボロボロになったものや
染みだらけのものが目を惹きます。

中庭も心地よくウグイスがさえずり
垣根や壁を見てボ〜とのんびり。
時間や人混みも気にせずゆったりとした時間を過ごせました。

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